塾

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最下位クラスだったあの子が東大に

ここまでお読みになった方は、塾というのは絶対的な良し悪しではなく、個々に合う合わないがある。ゆえに塾選びの成功・不成功というのは、個人の満足度によるところが大きいのだ、ということがお分かりいただけたのではないかと思います。したがって、成功例のようなタイトルをつけてはいますが、私がこれまでたくさん見てきた生徒のなかの思い出話をいくつか述べることで、それに代えさせていただければと思います。

野球部で活躍する中学2年生のE君が、私のクラスに合流したのは、夏休みが終わって二学期が始まったばかりの頃でした。部活動に熱心になるあまり、中学校入学時にトップクラスだった成績が急降下、このままでは普通科の公立高校が危ういということで、当時私が勤めていた中堅の総合塾に入塾してきたのです。

その総合塾では中学2年生は3クラス体制で、トップクラスは難関国私立専門、残り2クラスが公立高校受験を目指すクラスでした。入塾テストの結果、彼はもっとも下位のクラスからスタートすることになりました。

とはいえ、野球部の練習は厳しく、7時からスタートする中学部の授業に間に合うことはほとんどありません。たいていは7時半くらいに丸刈り頭をぺこりと下げて、教室に入ってくるのです。激しい練習で疲れていたと思いますが、授業中の彼は熱心そのものでした。

ただ、いかんせんこれまでに履修した内容の理解に乏しく、なかなか成績は向上しません。とりわけ、英語や数学といった積み上げの必要な科目は悲惨な状況でした。中学2年も終わりに近づいた頃、クラス担任であった私は、ついに彼に宣告せざるを得なくなったのです。このまま部活動を続けていては、きっと目指す普通科の公立高校には入れないだろう、どうするか、と。

彼がそのとき言った言葉は、いまだに忘れられません。熱心に部活動をやっているけれど、自分には野球の才能がない。けれど男が一度決めたことだから、中学校3年間は引退までこれを続けなければならないのだ。そんな風にきっぱりと断言したのです。

さらにこんなことも付け加えました。

塾も自分で決めて通い始めたのだから、一生懸命やりたい。これまではなんとなく塾に通ってきたけれど、それを改めたい。ただ、時間をたくさんとれるわけではないから、塾のことは一日に1つだけと決めて、それに集中したいと思うのだけどどうだろう、と。

なんてしっかりした子なんだろう。思わず私は、まじまじと彼の顔を見つめてしまいました。

そして、毎日1つの課題の内容と成果を私に報告することを約束して、その日の面談を終えたのです。

彼の決めた、塾の学習内容に関する「毎日1つの課題」が、思いもかけぬ効果を発揮しました。日々の塾の学習に対してひとつの課題をピックアップする、ということは、その日の学習を振り返り、適切な判断を示していく最良の復習でもありました。彼はそれを卒業まで毎日続け、塾に来るたびに私にそのメモを提出しました。私はそれを確認し、アドバイスを与えます。1年後、365個の課題を終えた彼は、目指す普通科の公立高校へ進学したのです。

その後、私が別の塾に移ったために彼の消息を聞くこともなくなりましたが、数年ほどたって、以前の同僚から驚くべき話を聞かされたのです。高校に入ってからの彼は、野球ではなく勉強を自分の道として選択した。そして、浪人こそしたものの、東大に進学したのだ、と。

その話を聞いた瞬間、ふと彼のまっすぐな目が思い浮かびました。きっと彼は4年間、毎日自分で自分の課題にチャレンジし続けたのだろうな、そう思ったのです。

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